Calender

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  
<< February 2019 >>

Categories

Archives

Recent Entries

Recent Comment

w closet×JUGEM

ゆるくまにあ!

ゆるくまにあ! 《第35話》

JUGEMテーマ:ものがたり


いよいよ12月に入り、ハタラク谷の家々にも
クリスマスの装飾が増えてきました。

毎年この時期のハタラク谷は、美しく飾りつけられたイルミネーションで、
とてもロマンティックな空間に変身するのです。

ツリー前編1.jpg

「そろそろ、私も飾り付けをしなくっちゃ」

シーちゃんも、素敵な飾りつけのために、
今日は街の雑貨屋さんに出かけることにしました。

ツリー前編2.jpg

「今年のツリーは、どれにしようかしら・・・」

シーちゃんがツリーを選んでいると・・・
お店のクリスマス・ミュージックを掻き消すほどの音をたてて、何かが近付いてきます。

ツリー前編3.jpg


 ババババババババ

 ババババババババ


「ヘリコプターかしら?」

お店の窓から外を伺うと、お店の前のスペースに1機のヘリコプターが着地するのが見えました。プロペラの風を受けて、木々が大きくしなっています。

サングラスを着けたSPを従えて、スライドした扉の奥から現れたのは・・・


「あれは・・・ リートくんだわ!」


パリへ出張に行っていた、谷でも評判のエリートイケメンクマ、
リートくんが、谷に帰ってきたのです。

その胸には、燦然と輝くシルバーの紋章。
シルバーの紋章は、一人前の優れたハタラクマである証なのです。

ヘリから降り立ったリートくんは、赤い石のついたループタイの位置を直し、
風で乱れた前髪を整えると、お店から出てきたシーちゃんに、爽やかな笑顔を向けました。

「やあ! ボンジュール、マドモアゼル・シー!
 ボクがいなくて、寂しかったかな?」

「いいえ、全く」

笑顔で斬り捨てるシーちゃん。


「見て! ハイパース家の、跡取り息子が帰ってきたよ!」

「あの身のこなし、実に優美だわ!」

「谷を救う者として選ばれるのは、絶対に、彼だと思っていたんだけどねえ」

「しかしまた、こんな、谷の中でも田舎の方に、
 何をしに来たのかな?」

リートくんとSPを目撃して、ざわめく谷の住人たち。


 ゴロゴロゴロゴロ


リートくんのお父さんである、ライ・ゴイエ・ハイパースは、
谷で知らぬ者はいないハイパー財閥の総領であり、
そのハイパース家の一人息子であるリート・ゴイエ・ハイパースは、
幼少時より英才教育を施された、ハタラクマの中でも超エリート中のエリートクマだったのです。


 ゴロゴロゴロゴロ


「ツリーですか、シーさん。
 ツリーなら、ボクの立ち上げた会社のツテで、素敵なお店がありますよ!
 そこで作らせましょう」

目を丸くするシーちゃんに、1本1,500円の赤薔薇『サムライ』を差し出すリートくん。

ツリー前編4.jpg


 ゴロゴロゴロゴロ


「・・・今度は、何の音かしら」

「何か、どんどん近付いてくるような・・・」


 ゴロゴロゴロゴロ


「あっ! 坂の上から、何か転がってくるぞ!」


「クマ〜〜〜!?!??!」


「この声は・・・」

「シーさん、危ない!!」


 バーン!! バリッ


坂のずっと上の方から転がってきた樽は、シーちゃんたちのいるお店の前の塀に、勢いよくぶつかって大破!

中から現れたのは、リンゴまみれの・・・

「ケ、ケルくん!?」

「う〜ん、目がまわったクマ〜」 メリッ メリッ

おなかが樽の枠にはまって抜けないケルくんは、にょきっと短い足を出すと
ふらふらと立ち上がり・・・

「あっ! シーちゃん!!
 お買い物かクマ?」


(なんだ、誰かと思えば、里の笑われ者、ケルか・・・
 今日も本当に、バカそうだな・・・)

「やあ、ケルくん!
 君は、とても体が丈夫だね」

「・・・・誰だったかクマ?」 ジー


「やだなあ、ボクだよ! リートだよ! ハハハ・・・」 イライラ

笑顔を貼り付けたまま、爽やかな対応に努め、握手をするリートくん。
あまり思い出していない様子のケルくん。

ツリー前編5.jpg


(全く面倒だ・・・
 この邪魔で愚鈍なケルを、シーさんの前から消すには・・・)

シーちゃんが正拳突きで、樽をケルくんごと塀に叩きつけ、破壊するのを眺めながら、腕を組んで思案するリートくん。


(そうだ! 谷の者を集め、美しいシーさんの前で、恥をかかせてやろう)

視界の端では、ケルくんが、塀に激突して前歯を折り、すきっ歯になりながらも、はまっていた樽から抜け出せたことに、大喜びしています。

(そうすれば、恥ずかしさのあまり
 もう二度と顔を見せられなくなるに違いない)


組んでいた腕を解くと、リートくんは、
シーちゃんにリンゴの汁を拭いてもらっていたケルくんに向かって、にこやかに話しかけました。

「ケルくん、マドモアゼル・シーは
 今年のための、素晴らしいツリーを探しているようだよ!」

「もうクリスマスなんだクマ〜」

「しかし、このお店には、彼女の気に入るツリーが置いてないそうだ!
 そこで、どうだろう? ボクたちで、素敵なツリーを用意するというのは?」

「むむっ! シーちゃんに、プレゼントするのかクマ?
 それは、とてもいいアイデアだクマ!」


「ちょっと待って!」

「決まりだね! シーさんの心を掴むツリーを、作った者が勝ちだ!!
 君、すぐにヘリを飛ばして、会場を確保したまえ!」

「はっ」

リートくんの後ろに控えていたSPたちが、携帯電話で慌しく連絡を取り始めました。


「あなた! 勝手に話を進めないで頂戴!」

「シーちゃんに、ツリーを作ってあげればいいんだクマ?
 楽しそうクマ〜」

「ちょっと、ケルくん!」

「彼もやる気みたいだし、すぐに始めようか!!」

(バカめ! ボクの財力と美的センスに、
 この、凡人を絵に描いたような貧しいグータラクマが適うものか!)

ツリー前編6.jpg

こうして、爽やかな笑顔の下で、ついに戦いの始まりを告げるゴングが、
鳴り響こうとしていたのでした。


《第36話へつづく!》


記念に、よかったら↓のバナーをクリックしてくれたら嬉しいクマ!
にほんブログ村 地域生活(街) その他ブログ ゆるキャラへ
にほんブログ村(ブログランキングサイトです)
  • 2014.11.21 Friday
  • 08:00

Comment
Send Comment








   
この記事のトラックバックURL
Trackback