Calender

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

Categories

Archives

Recent Entries

Recent Comment

w closet×JUGEM

ゆるくまにあ!

ゆるくまにあ! 《第37話》

JUGEMテーマ:ものがたり


《 前回のあらすじ 》

12月に入り、次第にクリスマスムードの高まってきたハタラク谷。
ツリーを探して雑貨店にやってきたシーちゃんの前に現れたのは、パリの出張から戻ってきたエリート御曹司リートくん! ひょんなことから、ケルくんも巻き込んで開催されたツリーコンテストで、ケルくんは3対1の大ピンチ! なのに、簡素なケルくんのツリーを見たシーちゃんの瞳から、涙が・・・!?



その素朴なツリーを見た途端、
シーちゃんの頭の中に、幼い頃の出来事が鮮明に蘇ってきました。

(このツリー・・・ 私、覚えているわ・・・・・)

あれは、もうずっとずっと昔の、クリスマスの出来事だったのです。

ツリー後編1.jpg


〜〜 ハタラク谷 〜〜


「困ったな・・・
 今年こそは、LovelyなChristmas treeを、My pretty angelに
 プレゼントすると約束していたのに、どこにも置いてないなんて・・・」

ハタラク谷の森の中を、1匹のハタラクマが
荷物を抱えて、ザクザクと歩いていました。

白衣を着たハタラクマは、立ち止まると、大きなため息をつきました。
思い浮かべるのは、彼の小さな娘のことです。

クリスマスに何が欲しいか訊いたとき、彼の愛娘は、くりくりとしたキュートな瞳で彼を見つめながら、可愛いツリーが欲しい、と答えたのです。

今日はクリスマス。
忙しくもう何ヶ月も家に帰れていない彼は、特別に休暇を取って谷に帰ってきたのですが、どこに行っても、肝心のツリーは売り切ればかり。

ツリーを持ち帰れずに帰宅したときの、悲しそうな顔を思い浮かべてしまい
彼はため息をつくと、もう一度他の店もあたってみようと踵を返しました。


(・・・おや? あれは、小さなtreeじゃないか?)

森の切り株の上で、ハタラクマの子供が
その場で調達したような、小さなミモーの木と、クリマツボーの実で
小さなツリーを作っているのを見つけて、彼は思わず駆け寄りました。

ハタラクマは非常に働き者の種族なので、
幼い頃から物売りをしたり、商売の基礎を学び始めることは珍しくありません。彼の娘も、最近株の取引を覚え、資産運用に興味が出てきた年頃なのです。


「可愛らしいChristmas treeだね!
 少年、そのtreeを是非買い取らせてくれないか!」

まだ紋章の赤いハタラクマの子供は、ツリーのてっぺんに
クリマツボーの実を飾り終えて、満足気に振り向きました。

「これは、売り物じゃないクマ!
 おじさんは、有り余るお金に物を言わせて、もっとちゃんとしたお店で買うべきだと思うクマ!」

「君、なかなかrealistな子供だね・・・・・・・・・」


しかし、彼も引き下がるわけにはいきません。

「実は・・・ 私には、君と同じくらいの年頃のdaughterがいるんだが、
 何軒寄ってみても、treeだけがsold outでね・・・
 今夜は大事なChristmasだというのに・・・」

ツリー後編2.jpg

項垂れた拍子に、ガサリと音をたてる荷物。

「!!! その包み紙は!!???」


彼の持っていた荷物の中に、谷中で大流行していて非常に入手困難な
『クマジェンヌおばさんのクッキー』の包みを見つけた少年は、
途端に目を輝かせました。

「ん? これが欲しいのかい?
 じゃあ、fairに物々交換といこうか! それならいいかな?」

ツリー後編3.jpg

クマジェンヌおばさんのクッキーの包みひとつと、
小さなクリマツボーのツリーひとつを交換したハタラクマの父親は、足早に
娘の待つ家へと向かいました。

「パパ、おかえりなさい!」

玄関を開けた娘は、小脇に
少し擦り傷のあるターヘル・アナトミアを抱えています。

「おお、今日は医学の勉強か! 偉いぞ!!
 パパみたいな、お医者さんになるつもりかな?」

医者であるハタラクマの幼い娘、
それが、シーちゃんだったのでした。


小さなクリマツボーのツリーを見せると、シーちゃんは大喜び!!

「約束、覚えていてくれたのね!!
 嬉しいわ、パパ!!」


賢いシーちゃんは、パパが何日も寝ていないことや、
彼が派遣されている地域の悲惨さ、その業務の過酷さについて、きちんと理解していました。

こうしてクリスマスに帰ってくるために、彼がどれだけの無理をして身を削ってきたのかも、シーちゃんには、なんとなくわかっていたのです。


それ以来シーちゃんは、その簡素なクリスマスツリーを、宝物のように
毎年大事に飾っていたのでした。

パパがいなくなってしまってからも、

一人で迎えたクリスマスにも、

資格の勉強や弟の看病で、くたくただったあのクリスマスにも、欠かさず。

ツリー後編4.jpg


(あのツリーは、古臭いからと、
 豪華なツリーと交換され、いつしか捨てられてしまったけれど・・・)

お父さんとの思い出とともにツリーを大事にしていたシーちゃんは、
当時、捨てられてしまったツリーを探して、大泣きしたことまで思い出して、口元を緩めました。


(ちょっと変わった器用な少年が作ったんだと聞かされていたけれど、
 あれは、ケルくんのツリーだったのね!)



シーちゃんの揚げた旗の色は、赤。


「長老の1票、シーちゃんによる3人分の票が入り・・・・・
 4対3で、なんと、ケルくんの逆転勝利です!!」


 ワァァァァァ


 ヒューヒュー


判定が下った瞬間、割れんばかりの歓声に包まれるステージ。

納得できない表情でブーイングをしようとした観客たちが見たのは、
小さなツリーを手にしたシーちゃんの、それはそれは幸せそうな笑顔だったのでした。



「こ、このボクが、ケルみたいな
 ハタラクマの風上にも置けない、ちんちくりんに敗北するだなんて・・・」

「おそらくお主は、シーの外見や、華々しいスキルの数々、
 表に見える眩しい面しか、見ようとしてこなかったのじゃな」

「そ、そんな・・・・・・」

長老の言葉に、打ちひしがれるリートくん。

ツリー後編5.jpg


「さあ、いよいよ、ライトアップの時間だ!!!」


「3・・・ 2・・・ 1・・・

 メリークリスマス!!!!」


合図とともに電飾を点灯したハタラク谷は、
暖かいオレンジ色の光に包まれて、まるで夢の国のようです。


「シーちゃん、メリークリスマスクマ!!」

「ケルくんも、メリークリスマス!」


(今こそ、チャンス・・・!!!)


ケルくんは、さっきからずっと
ごしごしと体毛に擦りつけて、摩擦で温めていた手を差し出すと・・・

「シーちゃん、寒いから手を繋・・・


「おいケル坊!!!!! 置いてくんじゃねえ!!
 オレにも、くりすますとやらを、満喫する権利があるだろ!!!」


 バムッ!!

「ぶるう!?!??!???」


パタパタと勢いよく飛んできたウメッピは、ケルくんの顔面に直撃!


「目がぁぁぁぁぁ!! 目がぁぁぁぁああ!!!」

色んな意味で涙を流して転がりながら、ムス化するケルくん。


「あら、うめぼし!
 クリスマスなんて、興味ないんじゃなかったの?」

「祭りは、皆でやった方が楽しいっす!」

「ウフフ、それもそうかもしれないわね!」

「目がぁぁぁぁああ」


こうして、ハタラク谷のクリスマスの夜は、
たくさんのクマたちの思いをのせて、しんしんと更けていったのでした。

ツリー後編6.jpg


(クリスマスツリー編 完)


《第38話へつづく!》



記念に、よかったら↓のバナーをクリックしてくれたら嬉しいクマ!
にほんブログ村 地域生活(街) その他ブログ ゆるキャラへ
にほんブログ村(ブログランキングサイトです)
  • 2014.12.19 Friday
  • 08:00

Comment
Send Comment








   
この記事のトラックバックURL
Trackback